物流
ピッキング支援に使えるロボット
作業者の歩行距離を減らす棚搬送・追従型の支援。人時生産性の改善幅が投資判断の根拠になる。
候補機種(3)
倉庫のピッキング支援ロボットをどう選ぶか
倉庫のピッキングは、作業時間の半分以上が歩行で消えていることがあります。棚から棚へ移動し、カートを押し、梱包エリアへ戻る。商品を掴んでいる時間はごくわずかです。
ピッキング支援ロボットの効果は、ここを削ることにあります。
まず実測する
導入検討の最初にやるべきは、見積もりを取ることではなく現状の実測です。
- 作業者が 1 日に歩く距離(歩数計で十分です)
- 1 時間あたりの処理行数(人時生産性)
- 1 オーダーあたりの平均ピック数と、棚の分散具合
- 歩行時間が総作業時間に占める割合
この数字がないと、どのくらい改善したのかが言えません。稟議も通りません。
方式の選択肢
追従型・棚間搬送型(AMR)。 作業者について回り、ピックした商品を載せて運びます。作業者は歩きますが、カートを押さず、梱包エリアへの往復がなくなります。既存の棚をそのまま使えるのが最大の利点です。
GTP(Goods To Person)。 棚そのものをロボットが作業者のところへ運びます。作業者はほぼ歩きません。効果は最大ですが、棚のレイアウトを専用のものに組み替える必要があり、投資も期間も一段大きくなります。
ピッキングアーム。 商品を掴む作業自体を自動化します。形状と重さが揃った商材では成立しますが、多品種の一般倉庫ではまだ難しい領域です。
ヒューマノイド。 トート搬送などで実証が進んでいますが、国内での商用提供は確立していません。現時点では検討段階には入りません。
既存レイアウトを変えたくないなら追従型、思い切って組み替えられるなら GTP という分岐が基本です。
追従型で確認すること
- 通路幅。 人とロボットがすれ違えるか。棚間の通路は狭いことが多く、ここで候補が絞られます。
- 床。 段差、スロープ、グレーチング。金属の床は自己位置推定を狂わせることがあります。
- WMS 連携。 どの棚へ行くかの指示をどこから受けるか。API 連携の開発を誰がやるのか、費用はどちらの見積もりに入っているのか。ここが最も揉めます。
- 台数と充電。 ピーク時に何台必要か。自動充電に対応しているか。ステーションの設置場所はあるか。
- 繁閑差。 波動の大きい倉庫では、ピークに合わせて買うと閑散期に遊びます。レンタルやサブスクリプションの提供があるかを確認します。
効果の見積もり方
単純化した式で当たりをつけられます。
削減時間 = 現在の歩行時間 × 削減率
削減率の目安 … 追従型で 20〜40%、GTP で 60〜80%
削減率は現場によって大きく振れます。棚が分散しているほど効果が出て、狭い範囲で完結している倉庫では効果が薄くなります。ベンダーの提示する数字は、自社の実測値と突き合わせて検証してください。
歩行が減った時間をどう使うかも決めておきます。処理量を増やすのか、人員を減らすのか、他の工程へ回すのか。ここが曖昧だと、導入後に「速くなった気はするが数字が動いていない」という評価になります。
段階的に入れる
いきなり全フロアに展開せず、1 エリア・数台から始めるのが定石です。
- 通路と床の問題が実機で出る
- WMS 連携の設計不備が見つかる
- 作業者の運用ルールが固まる
これらを小さく回してから広げます。ベンダーがパイロット導入に対応するかは、選定時の判断材料になります。
関連する言い方: 摘み取り / GTP / ピッキングカート